会社破産をすると退職金はどうなるか

文責:所長 弁護士 伊藤美穂

最終更新日:2025年04月10日

1 会社破産をした場合でも法律上は退職金を受け取る権利があります

 会社が破産した場合、破産手続きにおいて、会社の財産から債権者に対して支払いがなされます。

 従業員の方の給与や退職金は、法律上、優先的に支払いを受けられることになっています。

 優先的に扱われるとしても、会社に一定程度の財産がない場合には、支払いを受けることはできません。

 そのような場合の対応策のひとつとして、未払金立替払制度の利用が挙げられます。

 また、もし会社が中小企業退職金共済制度を利用している場合には、退職金を受け取る権利が消失しません。

 以下、未払金立替払制度および中小企業退職金共済制度について説明します。

2 未払賃金立替払制度について

 未払賃金の立替払制度は、会社が破産したことに伴い、賃金が未払いのまま退職された従業員に、国(独立行政法人労働者健康安全機構)が会社に代わって未払賃金(退職金を含む)の一部を立て替え払いする制度です。

 利用をするためには、労災保険の適用事業の事業主で1年以上事業を実施していることや、破産の申し立て(法律上の倒産日)から6ヶ月~2年の間に退職したことなどの要件を満たす必要があります。

 また、立て替えられる退職金の金額は全額ではなく、退職日の6ヶ月前~立替払請求日の前日までの間に支払期日がある退職金で、かつ未払いの退職金のうち80%です(これらに加えて、上限金額も存在します)。

 参考リンク:厚生労働省・未払賃金の立替払制度に関するQ&A

3 中小企業退職金共済制度について

 会社が中小企業退職金共済制度を利用していた場合には、破産をしても従業員の退職金に影響は及びません。

 中小企業退職金共済制度は、会社が掛け金を負担することで、勤労者退職共済機構から退職した従業員に退職金が支払われるというものです。

 勤労者退職共済機構は会社とは別の組織ですので、会社が破産せざるを得ない状況にあり、財産がほとんどない場合であっても、退職金の支払いには影響がありません。

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